2012-09-23

治らない人

入院中は4人部屋だった。
はじめ個室を勧められたのだが、高いので大部屋を希望したのだ。

同部屋の3人は皆80歳はいっているだろうと思われる老人。歩くこともできず、食事はおろか、大腸が動かないので排便も看護師の手を借りなくては出来ない人もいる。
ここだけではない。病棟内の入院患者のほとんどが、このような老人たちばかりだ。
介護がなければ、あっという間に衰弱して死んでしまいそうだ。
ドクターも賢明な治療を行っているとは思うが、僕にはこの老人たちが全快し、かつてのように社会生活が送れるようになるとはとうてい思えない。

唯々、やがて来る死を、ゆっくりと、少しずつ受け入れているように見える。

病院とは治療するところではあるが、死に直面するところでもある。
直る人と直らない人。

今回の僕はたまたま前者だったが、後者になったとき僕は何を考えるだろう。

©BAKAORU
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