2025年1月18日

Revers & Rebirth

Reverse & Rebirth


僕が成人してからの35年、世界は想像を超える出来事の連続だった。
巨大地震、テロ、戦争、疫病など、いずれも子供の頃にテレビや映画で見てきた光景が、現実となって繰り返された。34年前の湾岸戦争や30年前の阪神淡路大震災、24年前のニューヨークでの同時多発テロは、間違いなく現実の出来事だ。しかし、テレビ画面を通じて見ただけでは、実際に体験していない僕にとって、それらはどこか非現実的な「絵空事」のように思えた。

そんな自分が始めて経験したのは、14年前の東日本大震災だが、これも当時務めていた京橋の会社にて体験したので震度は5強程度と、震源に近い宮城や福島に比べれば生易しい被害であり、実際、僕は机の下に潜るような事もなく、大きいと感じた瞬間には、すかさず立ち上がってと冷静にキャビネットの扉が開いて書類が散乱しないように押さえていた記憶がある。

5年前のコロナウィルスのパンデミックで世界中が巣ごもり状態になったときでさえ、ワクチンは打ったものの危機感はさほど覚えなかったし、コロナに感染するような事も現在までないので全く実感がなかった。むしろ、普段は人で溢れ返るのディズニーシーを貸し切り同然に今は亡き妻と2人で堪能でき、特別な思い出になっている。

我ながら、なんと不謹慎でおかしな人間なんだとも思うが、それでも当事者の気持ちは察する事は出来る。死を感じる恐怖を覚えるような災難に、これまで遭遇してこなかったというのは、ただの幸運だと言える。この幸運に甘んじる事なく「明日は我が身」と、頭の片隅に思いつつ、備えていかなければいけない。

戦争や災害の悲しみのない明るく幸せな社会に向けて、過去を学び、自分の過去を振り返りながら、澱みのない真っ白い心を取り戻す必要がある。過去の悲惨な出来事も、他人事、絵空事と片づける事なく、どこまで追体験し自分事に出来るかが、人として一皮むけるという事なのだろう。

非力で資産もない僕が、有事の際に他人のために尽力するような事は出来ないが、せめて自分の周りだけでも手助けできる心と体の余裕は持っていたいと思う。

©BAKAORU
2025-01-18 | Posted in ILLUSTRATIONNo Comments » 

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