2022年1月1日

Adding Wings to a Tiger

多くの場合、全ての生き物は生まれながらに運命が決まっていると僕は考えている。
ミミズに生まれればミミズの一生があり、モグラに生まれればモグラの、イタチに生まれればイタチの、トラに生まれればトラの生き方が決まっている。

ミミズは日々ひたすら土の中を進み、それ以上は望んでいない。
次の瞬間にはモグラに食べられようとも恐怖を感じる事はないだろう。

その上に立つ生き物にしてもそうだ。生きる為のルーティーンを日々ひたすら繰り返すだけ。
自分に与えられた生き方を淡々と繰り返すだけで、自然の理の中でそれぞれの幸せを十分に謳歌できるのだと思う。

しかし、人は違う。
自分に与えられた境遇には満足せずに、どん欲に個人の幸せを追い求める。
不遇な環境に育った人はもちろん、恵まれた世界に生まれた者でさえ、もっと多くの力を得ようとしている。生存競争の中で他人を蹴落とし、勝ち残った一握りの人が世界を掌握し動かしている。

力を得ると、人は力を行使しなければ気が済まない生き物なのかも知れない。
底辺の人間から見れば、何を恐れているのか更なる力の獲得に必至だ。
トラが翼を持って空を飛んだところで、無敵の生き物になれるわけではない。
むしろ、森から出た事で、目立ち過ぎて獲物には逃げられ、空腹のまま地上に落ちるのが関の山だろう。

カエルは井戸の中にとどまっていたほうが、案外、幸せなまま一生を終えられる。
自分の世界をはみだしたところで、新たな命の危険が増えるだけ。

今ある境遇を憂えるよりも、今与えられている世界を大切に思う事が出来れば、きっと幸せを感じられるはずなのだ。

©BAKAORU


2022-01-01 | Posted in ILLUSTRATIONNo Comments » 

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