2020年4月21日

天日恵-AMABIE-

コロナ禍で不安な世の中で「アマビエ」という妖怪の絵を描くのが、ネット上で流行しているというのは、つい最近になって学生時代の友人のFacebookの投稿で知った。なんでも、「当年より6ヶ年の間は諸国で豊作が続くが疫病も流行する。私の姿を描き写した絵を人々に早々に見せよ。」という江戸時代の瓦版があるらしく、それに倣って今回のコロナ禍でもアマビエの姿を描いた絵を描くのが流行っているらしい。

Wikiによると、1846年の5月に熊本県の海に現れたという瓦版が残っている。この瓦版の木版画を見ると実に素朴でシンプルな線でその特徴が描かれている。
ある種、滑稽でユーモラスなその姿は実に興味深い。
毎夜、海が光り輝くので、役人が行ってみると海岸に現れて、予言を伝えた後に海に帰っていったという記事も、ファンタジーを思わせる内容で面白い。

ただ、予言の文を読む限り、「絵を見せよ」とは言ったものの「疫病が沈静化する」とはひと言も書いていない。瓦版を見て江戸時代末期の人が「アマビエ」の護符のようなものを使っていたという風習や記述も調べたが無かった。実際、ネットで出てくる絵を始め、神社の護符など、COVID-19が流行り出してからのものばかりということは、「アマビエ」の御利益は、ネットユーザーが生み出したものなのだろう。

とは言え、厄災に対し回復を願う気持ちは当然のことだし、何かにすがりたいと思うのも当然だろう。
「アマビエの絵を見せる」という行為で、自分は「皆と苦しみを共有している」と発信することで、願いを共有し「独りじゃない」という安心感を得られるのも確かだ。実効性は伴わないが、気持ち的には「社会に対し貢献した」ような自己満足感も得られる。

震災の時は「ボランティア活動」が、そうした「心のバランス」を保つ心理でもあったが、今回のコロナ禍では、そうした活動は一切出来ない。
いつ終わるかわからない厄災は、感染しなくても、確実にストレスと不安を人々に与え続け、心をも病に陥れていく。コロナも厄介だが、精神的な病が増えることは同じように厄介だ。

「アマビエ」は、病理学的には根拠はないが、宗教同様に精神医学的には少しは効果があるように思う。
スペイン風やコレラ同様に、コロナ禍は波の様に流行を繰り返すだろう。終息までは1年以上かかっても不思議ではない。

暗い夜であっても、僕らには光を生み出し明るくすることが出来る。
アマビエで自分の心を明るく照らし、夜が明けるまで自分の周りだけでも照らしていこう。小さい光でも集まれば、それは日の光にもなることが出来るかも知れない。

2020-04-21 | Posted in ILLUSTRATIONNo Comments » 

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